医療法人社団 陽和会
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疾患と詳しい治療方法

尿路結石に対する治療

1. 衝撃波による破砕術(ESWL)

ESWL装置による砕石方法
現在最も良く用いられているのは体外衝撃波結石破砕術(ESWLまたはSWLと略されます)です。 ESWL治療器の発生装置で作られた衝撃波は水の中ではほぼ減衰せずに直進し、硬い物質や異なる物質の境目ではエネルギーが吸収されます。 この衝撃波をレンズなどで体内の結石などの硬い物質に集中させると、エネルギーが吸収され、破壊することができます。 2-3cm以上の大きな結石や、尿管の中ではまり込んで動かない結石、非常に硬い結石などを除いて、90%以上の結石が治療対象になります。 ある程度細かくなれば、尿管を抜けて膀胱まで落ち、次の排尿の時に体外に出てきます。いくら細かくなったとはいえ、固形物ですので、 流れ終わるまでに痛みを伴ったり、まれに熱が出たりすることもありますが、多くは一時的です。治療の合併症としては、痛み、発熱のほか、 腎臓の場合には被膜下血腫(0.1-1%)を起こすことがあります。これは、腎臓にできた大きな血まめのようなものです。腰痛や微熱、貧血などの症状のほか、 まれには腎臓の機能が低下することもあります。この様な合併症の可能性もあるため、当院では入院での治療を原則としていますが、尿管の小さな結石で、 すでにESWL治療の経験がある方など、一部の患者さんでは日帰りで行うこともできます。個々の患者さまで条件が異なりますので、 詳細については受診された際に担当医にお尋ね下さい。

2. 治療困難な結石とは?

まず、腎臓、尿管の大きな結石(2-3cm以上)があげられます。他に、尿管の同じ場所に長い間留まっていて結石周囲の炎症が強い場合、 腎臓機能が強く障害されている場合、何度もESWL治療をしたが変化のない結石、非常に硬い結石などが治療の難しい結石となります。 単純に尿管結石で2cm以上であれば、困難結石となる可能性が高いと考えられます。この様な場合には、ESWL以外の治療法が必要です。

3. ESWLで治療困難な結石ないしは治療困難と予測される結石の治療

図7a,b ESWLによる砕石前と砕石後(結石サンプル)
腎臓のサンゴ状結石や腎臓に近い尿管内の大きな結石であれば、背中から腎臓に向けて針を刺して、その針穴を広げて内視鏡用の手術ルートを作り、 内視鏡的に結石を砕いて除去する方法(経皮的腎結石除去術=PNL)があります。あくまで尿路結石として一部に対する手技ですが、 限られた施設でしか行うことはできません。設備、器具のみでなく、出血の危険性もあって高度の技術と経験を必要とする手術です。 当院では1992年より開始し、最近6年間に行った183例で輸血を要した症例はありません。安心して手術を受けていただけると思います。
尿管のESWL困難結石や比較的小さいが腎臓の奥にあって硬い結石などでは、尿道から尿管に直径2-3mmの細い尿管鏡を挿入して、 ホルミウム・レーザーで細かく砕き、特殊なバスケット・カテーテルで結石片を除去する方法(経尿道的尿管結石除去術=TUL)を行います。 使用する内視鏡には、硬性鏡の他、胃カメラのような軟性鏡もあって、尿管から腎臓の中まで、安全に結石除去できます。 ただ、中には摘出が非常に難しい結石もあります。特に、治療困難結石の治療の場合には、内視鏡の種類だけでなく、種々の医療器材を用意して、 色々な可能性に備えた準備が必要となります。当院では、あらゆる結石に対応できるよう、日頃より準備しております。 治療困難結石であっても、是非一度ご相談下さい。

4. 当院での結石治療の歴史

当院では、1988年からドルニエ社のESWL装置(HM-3)を導入以来、2016年12月までに7740人余りの結石患者さんの治療を行ってきました。 2009年9月からは、当院では3代目になる最新型のドルニエDelta II砕石器を使用しています。 この機種は超音波装置と最新の高精細X線透視装置により、X線では写らない結石、小さな結石、あるいは見えにくい場所の結石などの探査に大きな威力を発揮し、 結果として放射線照射時間の大幅な短縮が可能となりました。1992年からはPNLやTUL、軟性鏡によるTULも開始し、 ESWLでは治療が難しい尿路結石も多数手術してきました。内視鏡手術は、原則としてESWLでは治療困難な結石に行ってきましたが、 現在は、内視鏡や技術の進歩もあり、内視鏡を使用した結石治療が増えています。年間に80例前後であったものが、2016年は150例になりました。 長年の多くの経験をふまえて、ESWL治療から高度の内視鏡治療まで、どんな結石に対しても応じられる体制をもって、皆さんの診療にあたっています。

前立腺肥大症に対する治療

手術治療の変遷とホルミウム・レーザー核出術

図4 HoLEPの手技(前立腺の核出法)
薬による治療で難しくなったら、手術治療を行うことになります。 尿道周囲腺、前立腺の中心部から肥大した組織はちょうどみかんの実のようになっており、その周囲には、元からあった前立腺の組織が、 みかんの皮のように薄くなって外腺ないしは外科的被膜という部分を形成します。 肥大した組織の塊を取り除く手術法としては、古くからお腹を切って切除する方法がありましたが、 ここ数十年は電気メス(高周波)を使用した経尿道的内視鏡切除術(TUR-P)が主に行われてきました。 この手術はお腹を切らないことが利点ですが、欠点は、前立腺の大きさに比例して出血が増え、輸血が必要になること、 術中洗浄液による血液希釈と、それに起因する変化が心臓や循環系に大きな負担となることなどです。 1995年頃より、ホルミウム・ヤグ・レーザー前立腺核出術(HoLEP)が始められました。当院では2004年より本法を導入しています。 ホルミウム・ヤグ・レーザーは水に吸収されやすく、組織の深い部分には影響が少なく、表面を止血しながら切開できるという特徴をもっています。 前立腺肥大症では、切除すべき肥大組織と残すべき本来の前立腺組織(外腺ないしは外科的被膜)はみかんの実と皮の様な関係で、 その間には剥がれやすい層があります。この層に沿ってレーザーを使い、肥大組織を核出することで、無理なく肥大した前立腺組織を取り除くことができます。 核出した前立腺組織の塊はモーセレーター(粉砕器)ないしは電気メスを用いて、細かく裁断して除去します。 すでに遊離した肥大組織ですので、この際には出血はしません。すべての手術行程は、生理食塩水という体に影響の少ない液を灌流しながら行いますので、 多少吸収されても安全です。取り出した組織は、がん細胞などが含まれていないか病理組織検査に提出します。 切除後は、バルーン・カテーテルを膀胱まで挿入し手術を終えます。この手術は、大量出血の危険がなく、血液希釈も全く起こりませんので、 より大きな前立腺肥大、あるいは循環器や呼吸器などに障害があって、従来の内視鏡手術が行えなかった患者さんにも適応範囲が広がりました。 新しい前立腺核出術はある程度大きな前立腺の方が安全で、小さな前立腺(切除量で10グラム以下)の場合には、大きな利点となりません。 それらに対してはTUR-Pで良いのですが、当院では従来の高周波メス(TUR-P)ではなく、生理食塩水で行える合併症の少ないバイポーラー切除を行っており、 安全性を高めています。 この様に、前立腺の大きさ、炎症の有無、患者さまの年齢やお体の状態など、色々な条件に対して最適な治療法が選べるようにしています。 前立腺肥大症の手術を考えておられる患者さんは是非一度ご相談下さい。

前立腺がんに対する治療

治療の選び方

早期がんで進行するか分からない程度である場合には、必要な期間、経過観察して治療を待機する監視療法があります。 特に、同じレベルのがんでも高齢になると治療は積極的である必要がなくなります。逆に早期がんであっても、若ければ若いほど手術などの根治治療を行うべきです 。根治治療の代表は全摘手術です。ほかに放射線治療や高密度超音波治療(HIFU)などが根治治療になりますので、 身体の状態、年齢、あるいは治療に対する考えかたによって、治療法を選択することになります。手術までは必要ないが、 進行を抑えるため治療が必要な場合、あるいは全身に広がったがんの治療の代表はホルモン治療です。 前立腺がんは男性ホルモンに依存して成長します。男性ホルモンを抑えることでがんの成長を抑制します。 ただ、いずれがんがホルモン抵抗性を獲得して薬が効かなくなってきます。以後は、抗がん剤を含むあらゆる方法が行われます。
適切な時期に、手術を含む適切な治療を行うことが何より大切です。診断されてから、長く治療の必要な病気ですので、将来を見据えて、 よく考えて治療を選択してください。前立腺がんで大切なのは発見年齢です。 75歳を過ぎてからであれば、見つかっても生命予後には影響がないことが多いですが、若いほど影響が大きくなります。 特に65歳以下では非常に重要ですので、是非50歳から75歳くらいまでは定期的なPSA検査等を受けましょう。

  1. 監視療法
    早期がんで悪性度が低い場合は一般に進行が緩やかですので、今後のがんの進行の予測と患者さんの寿命を勘案して、 治療を待機する考え方です。定期的なPSAや画像検査、また必要に応じて前立腺の生検を再度行って、がんが進行を早めていないか、 悪性度が変わっていないか確認します。もし動きがあればその時点で適切な治療を選択します。 もし、殆ど変わらないようであればまた数ヶ月待つということを繰り返していきます。これまで多くの研究がなされ、3−4年経過しても、 60−80%の患者が、進行していないといわれています。治療をしないのではなく、あくまで治療が必要な時期まで待つことで、 無駄な治療を省くことが目的です。待ったことによって手遅れになったとの実例は殆どありません。状況は個々の患者さんで異なりますので、 主治医にご相談下さい。丁寧に詳しく説明いたします。
  2. 腹腔鏡下前立腺全摘術
    過去現在にわたり、前立腺がんの標準的治療は前立腺全摘術です。 当院では20年前より、腎・腎盂尿管がんの手術、腎盂形成手術などに腹腔鏡を用いていきましたが、2014年より前立腺がんにも使用を開始しました。 前立腺摘除の場合、お腹に小さな創が4つほどできますが、閉鎖空間での手術のため、出血量が抑えられ、輸血の使用がなくなりました。 出血が少ないことに加え、腹腔鏡の利点は、内視鏡手術と同様に拡大視野で手術ができることで、微細な部分までしっかり観察して、 安全に行うことができることです。腹腔鏡下手術で良い術者になるには多くの経験と学習が必要ですが、 当院では十分に経験と積んだ医師が手術にあたっています。手術の内容そのものは、開腹であっても腹腔鏡下であっても、 またロボット支援腹腔鏡下であっても変わりません。ただ、開腹では多くの場合輸血が必要になりますが、腹腔鏡下ではほぼ不要になります。 前立腺を切り離したり、膀胱と尿道を縫い合わせたりする際の易しさなどに、それぞれの方法で特徴があります。熟練した医師が行えば、 尿失禁などの合併症を含めた治療成績は、方法が異なっても余り差が出ません。
  3. 転移のない前立腺ガンに対するその他の治療法
    放射線外照射は、手術の代替として最も利用されている根治治療の一つです。 IMRTという、強度と照射範囲を自在にコントロールすることで、前立腺組織に高濃度の放射線を照射できるようになり、 手術に近い成績が得られるようになりました。その他に、前立腺に放射線を発生する小さな棒状のシードを埋め込む小線源治療、 重粒子線や陽子線を使った治療もありますが、いずれも当院では行っていませんので、専門の施設に問い合わせて下さい。 ご希望の方には当方から紹介致します。
  4. 転移がんの場合、根治療法を必要としない場合の治療法
    手術を含む根治治療は必要ではないが、進行することを抑えるための治療、あるいはすでに転移がんがあるため、 手術では治せないがんの場合には、一般的にホルモン治療が行われます。通常は、男性ホルモンの分泌を抑制することから始めます。 男性の精巣を摘除するか、男性ホルモンの分泌を止める薬を注射します。一部の男性ホルモンは副腎からも分泌されますので、 それを抑制するために男性ホルモン拮抗薬も併用することがあります。大変よく効く治療ですが、一般には数年先のある時点で効かなくなってきます。 時期は個人差が大きいので、一概には言えません。PSAや転移がんの様子などを随時観察することで、概ね以後の予測が立てられます。 ホルモン治療中にもかかわらず、がんが再燃してきたら、一般に去勢抵抗性前立腺がんといわれます。以後はホルモン拮抗薬を変更してみることになります。 新しい薬も開発され、数種類の薬で更に数年から10年くらいは効果を持続させることができます。 どんなホルモン薬を使用しても効かなくなったら、あとは抗がん剤に頼ることになります。前立腺がんに使う抗がん剤は、比較的副作用も少なく、 外来で使用が可能ですが、稀に副作用などで入院が必要なこともあります。実際にその様な状況になりましたら、担当の医師とよく相談して、 一番適した方法を探すことになります。
外来診療表